午前中にいらした好江師匠(私の心の中でのニックネームですよ)から
夕方、お店に電話を頂いた。

「すいとんをたくさん作って、美味しくできたんだけど食べるなら持って行くよ!」
「あ、嫌いなら無理しなくていいんだからねっ」と。

ポンポンはっきりモノをおっしゃるので、口が悪いように
取られそうだけれど、気遣いがあって細やか。
東京の下町の方々もそういう方が多かった。
カラッとさっぱりしていて気持ちがいい。

お電話を頂くのははじめてで、
食いしん坊の私が断るはずもなく。
ほどなくして深鉢に入れたすいとんを持った師匠が
(ご主人の運転する車に乗って)ご来店。
できたてらしく、まだあたたかい。

お店に置いているくまがいのぞみさんの小さな土鍋に移し替えて
自宅に持って帰ることにした。
夫君のお迎えを待つ間、閉店後の腹ぺこ時間にはたまらない美味しそうな匂い。
スプーンでひとすくいしてほんのお味見。

美味しいぃぃ。

ピタっと決まった黄金比のような味付け。
やっぱりこれも隠し味にはお味噌を少しだそう。

家に帰ってうどんやら水餃子やら粉ものが好きな夫君は大喜び。
ちなみにその他の具は
ひき肉・豚バラ・舞茸・ネギ・春菊
土鍋で作ったそうで、それをまた土鍋で温め直したからか
身体がポカポカ。土と火の力だなぁ。
すいとんのお団子がもっちもちだった。

母は戦争を経験していて、お米がない時の食事が毎日のように
すいとんだったという話を子どもの頃に聞いたことがある。
小麦も今のような上質のものではなかっただろうし、
もちろん肉など入るはずもなく、調味料だって満足のいくものが
揃うことなどなかっただろう。

子どもの頃、はじめてすいとんというものを食べたのはお友だちの家で、
またあれが食べたい!と母にせがんだことがあった。
母はひき肉、大根や人参、ネギなどを入れて、出汁と
お醤油で味付けをした美味しいすいとんを作ってくれたけど
「お母さんはいい思い出がないから」とほとんど食べなかった。
子どもながらにそんなことを覚えていて、「すいとんが食べたい!」とは
もう言えなかった。
「すいとん」というとそのことを思い出す。
だからか、私も自分ではあまり作る気にならなかった。

が、目の前で美味しそうに食べている人がいると
作ってみるかという気にもなる。
おもしろいもんだなぁ。

師匠にもっちもちのコツを聞いてみようっと。