先週のこと 2 からむし織

先日からむしの里、福島県昭和村へ行ってきました。
「からむし」という存在を知ったのは、
からむし織作家のますみえりこさんに出会ったことがきっかけでした。
しかもますみさんにはじめてお会いしたのは
原宿のオーパギャラリーで行われていた
くまがいのぞみさんの展示で。
確か、お店を始める前だったからかれこれ10年近く前になるのかな?
縁というのはおもしろいものです。
ところでからむし(苧)とは?
イラクサ科の多年草植物で、別名苧麻(ちょま)ともいいます。
からむし織はその繊維を使って織られる織物で…などと簡単に言葉で
言ってしまっては申し訳ないほど。
からむしを育てるための畑作りが5月の小満の頃に始まり、
夏には育ったからむしを刈り取り、糸の素となる繊維を
取り出す苧引き(おひき)という作業をし、
秋から冬の間には糸作りの作業に入ります。
細く裂いた原麻を組み合わせ、先端どうしにヨリをかけながらつないで
糸をつくることを苧績み(いとうみ)と呼ぶのだそうです。
「糸を生んでいく」
耳に届くその言葉の響きの通り、ますみさんはこの作業が
大好きだと言っていました。
そうしてうまれた糸に今度は糸車でヨリをかけていきます。
ここまでが織りを始めるための下準備。
ようやく織りの作業へと取りかかるわけです。
これでも実際の作業を考えると、びゅーんとワープするかのように
簡単に説明してしまいましたが…
お米や果樹を育てるのと同じように
一年を通してじっくりゆっくり、
全てが手作業で行われる、まさに手仕事なのです。
以前に素描家・しゅんしゅんさんと
ますみさんのアトリエへ伺ってお話を聞き、
先日は三人で福島県の昭和村へ行って来たのです。
地元の方々のお話も伺って、すぐに何かを伝えたいという
気持もわく一方で、そこにはそんなに簡単なことではない難しさや
素晴らしさ、深さなども知り。
私が何かを伝えるには、からむし織りができあがるまでの速度のように
ゆっくりじっくりの時間がまだまだ必要かもしれません。
ただ、モノが生まれて育ち、継がれていこうとしている土地の空気を
感じられたことは、また確実に何かへと繋がっていくのだろうな。
まずは私はからむし織りを知るきっかけとなった
ますみさんが生みだすからむし織の魅力を伝えていきたいなと。
来年の展示のかたちをこれから頭の中で熟成中。
小さな織地ひとつも大切にしているますみさんが作った
小さな小さなポシェット。寅さんのように首から下げます。

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