大きな甕

自分がすっぽり入るくらいの大きな甕があったらな。
涙が出そうになったときとか
震えるくらいの怒りなのか不安なのか哀しみなのか、
そんなわけのわからない私のぐちゃぐちゃした感情などは
その大きな甕を自分の頭の中に思い浮かべて
全部放り込んで、蓋をしてしまえばいいと思っていた。
大きな甕は簡単にはあふれることはないのだから
安心してどんどん放り込んだらいいし、蓋も思いっきり
重たい特別なものを用意して簡単には開けられないようにすればいいと。
大きな甕を何度も思い浮かべてここ何日間を過ごしていたのだけれど、
今日、でもそれはちょっと違うのかもしれないと思った。
今日はお店が終わってから、とあるチャリティーライヴへ。
音楽とそこに集まった人たちの思いで
大きな甕は溢れる前に簡単に割れてしまった。
止めようが無く涙が溢れ出てしまった。
誰かに闇雲に感情をぶつけるのでなければ、
表に出していいときもあるんじゃないかなって。
今夜ライヴが行われた場所は
まるで小さく灯ったロウソクの灯りみたいにあたたかだった。
お陰で胸のあたりが少しだけ軽くなった気がした。
そして今日も子どもたちの健やかな力に助けられた。
ありがとうね。