糸の泉は線となって絵となって

広島へ引っ越しをしたしゅんしゅんが
お店に来てくれた。
何度も言うけれど、約束をしていなくても、こういうことがあるから
お店という場所にただただ感謝。
しゅんしゅんは素描家として活動をしている。
大きな荷物の中から取り出したのは
「糸の泉」
しゅんしゅんが旅をしながら描いたギャラリーやカフェ
雑貨屋さんやアトリエなど33箇所の素描と言葉がつまった本。
私も知っている場所、訪れたことがある土地が
描かれていて、ページをめくるたびにその場所へと連れて行ってくれる。
線で描かれている絵は、色や音や匂いも運んでくれる。
広島へ移って約一カ月。
壮行会はアンチヘブリンガンで友人5人と楽しい時間を
一緒に過ごせたことが本当に良かったなぁと
会話をしながらそのときのことを思い返していた。
この日、目の前のしゅんしゅんが、
コーヒーをとっても美味しそうに飲んでいて
そのことが嬉しかった。
「今日はin-kyoを描きにきました」
スケッチブックを取りだしたしゅんしゅんは、
サササっと30分もかからずに店内を描いてくれた。
お店の取材で何度となく撮影をされた店内だけれど、
こうして絵で描かれたのは初めてだ。
しかもレジのあるカウンターから。
何でわかったのかなぁ。
実はその場所からの眺めが一番気持良くって、
私が好きな場所でもあったけど、誰にも言ってなかったのになぁ。
「糸の泉」と一緒に、以前、蔵前に来た時に描いた厩橋からの風景を
ポストカードにしたものも頂いたのでお店に飾ってます。
私のまわりでは今まで暮らしていた土地を離れた人も少なくない。
寂しいけれど、でもそれだけではなく、点と点もつなげば線になるんだよなぁと
「糸の泉」に添えられたしゅんしゅんの言葉を読んで思った。