熱でうなされながら寝ている最中のこと。
夕方目が覚めると団地の遊び場で子どもたちが
何人かでおしゃべりをしているのが聞こえてきた。
ひとりの女の子がしきりに「仰げば尊し」と
何度も口にしているので、歌声が聴こえてくるかと
思いきやなかなか歌う出す気配がない。
それでも何度もその子は口にするのできっとみんなで
歌いたいのだろうと聞き耳を立てて待っているのに
やっぱり最初の歌いはじめが出て来ない。
いっそのこと私が歌ってあげようかしらと
思ったけれど、病人が出しゃばる幕じゃないと
熱に唸りながらもどかしくジリジリ。
結局歌は聴けずじまいで子どもたちの話題は別の方へと
転がっていった。
私だけが取り残された気分でモヤモヤが残る。
それにしてもこの季節になんで「仰げば尊し」だったんだろう?
熱が出てるんだから何も考えずにひたすら寝ればいいものを
次から次へと思考がぐるぐる働いてしまっていた。
はぁこれまた貧乏性よ。