昨年のこと。
朝お店の花壇のまわりを掃除をしていたら、
ご近所の方(ただ者ではない雰囲気の方だったので
心の中で「師匠」と勝手によんでいた)に青梅をたくさん頂いた。
こちらはよくお見かけしていたものの、挨拶すらしたことも
なかった方だったので突然のことに驚いた。
師匠:「あなただったら何かにしてくれるんじゃないかと思って」
私: 「???」
その梅は湯島天神の梅とのことで、
まだ小さく、キズがいっさい無いところを見ると
落ちたものを拾ったのではなく、枝から摘んだものだろう。
湯島天神の梅を摘んでいい人って一体何者…???
後からわかったのだけれど、「師匠」は女性の噺家さんで
大御所も大御所。あだ名でもなんでもなく、「師匠」に間違いはなかったのだ。
「師匠」からの大事な梅仕事はプレッシャーだった。
私が忙しかろうがなんだろうが梅は待ってはくれない。
お店が始まる前の時間を使って、
半分は梅干しに、もう半分は黒糖で梅シロップにして1年が経った。
最近になってずいぶんとこなれた感じの味になってきた(気がする)
この梅、「師匠」に味見して欲しかったな。
今年は南高梅を手配してその梅が昨日届いた。
香しい梅の匂いが部屋中に充満している。
香りもいいけれど、青梅のおしり(と呼んでいる)が
赤く染まっている様子もなんともかわいらしい。うっとりしてしまう。
今年は半分を贅沢にハチミツ漬けに。
(張り切っていいハチミツ使っちゃいます!)
もう半分は追熟を待って梅干しに。昨年の倍の量。
仕事を増やして何やってんだい?と思うけれど、
祖母が当たり前にやっていたようなこういうことを
「ていねいな暮らし」とかではなく、普通のこととして
私もただやりたいと思うだけ。
黙々とやる梅仕事、けっこう好きなのです。