4B

4Bの鉛筆を買いに、in-kyoの近くにある文房具店へ行った。
おそらく三春で唯一の文房具店だろう。
なぜ4Bかといえば絵を描いてみようと思ったから。
絵を描く=4Bというのも今思うとなんだか
子どもの頃からの掟のようなものから抜け出せていないんだなぁなどと思ったり。
でもいいのです。
ちょっと描いてみたいなと思って鉛筆を買いに行く。
その発想と行為自体昨日までは無かったものなのですから。
そもそもそう思い立ったのは先月訪れた
代官山の無垢里で行われていた展示を観に行ったことから。
小学生?中学生?くらいまでは絵を描くことが好きだったのに
その私はどこへ行ってしまったんだろう?ということを
思い出させてくれた展示。
で、鉛筆なワケです。
ここの文房具店へはまだお店の引越準備をしているときに
一度訪れたことがある。
デッドストックなどはないかあれこれ物色したかったものの、
店内に入ってすぐに
「何かお探しのものはありますか?」と
店主?のおじいちゃんに声をかけられて
あまりゆっくり見ることができなかった。
けれども今回は同じように声をかけられても
堂々と「4Bの鉛筆を探していて」と言うことができた。
おじいちゃんは4Bの鉛筆が3種類あること(50円、60円、90円)
値段がいいのは描き味がやっぱり違うことをていねいに説明してくれた。
大人なので?もちろん90円を購入。
手のひらがなめらかであまりシワが無くきれいな手をされていた。
おじいちゃんは昔、絵描きを目指して…なんて想像をしてみたり。
何かをはじめるにはまず道具から。なんて。
携帯で気軽に写真を撮るというのとはまったく違うモノの捉え方。
しばらく続けてみようっと。

紫陽花山

三春ではちょうど紫陽花が見頃。
町のあちこちで見かける花(ガク)の色が目を喜ばせてくれる。
本当に花が多く咲く町なんだなぁ。
喜一さんちの紫陽花山(と、これまた勝手に名づけている)
ももうすぐだろうねなんて夫君と話をしていたら、
先週「見頃だよ」とお電話を頂いた。
悠長に構えていると見逃してしまうと思い、
翌朝早速、雨降りにも関わらず二人でお邪魔することに。
小雨がシトシト降る中、雫が滴る紫陽花は
より一層色鮮やかに見える。
青時雨というなんともきれいな言葉の通り、
その雫さえ美しい。
20160704-紫陽花と雫.JPG
お庭の一部(とは言えないほど広い山)には
道の両脇に数種類もの紫陽花が花を咲かせている。
お孫さんのために手づくりしたというブランコは、
木にロープをくくりつけた頑丈なもの。
ブランコに乗ればもう山の緑と空しか目の前には無い。
ふぅと深呼吸をすれば体の中を澄んだ空気が行き渡り、
サーッと澱みを洗い流してくれる様。
「上がって行きなさい」 
なんて言われてそうしたいのは山々だったけれど
開店に間に合うようにおいとまを。
いい一日の始まり。
*青時雨という言葉は
「にほんのいきもの暦」日本生態系協会(アノニマ・スタジオ)
という本で知りました。
なんてきれいな言葉なんだろうと。
この本は日本の二十四節気に沿って動物や昆虫、植物、自然のお話が
美しい写真とともに紹介されています。
図鑑よりももう少し身近な感じがして、
親しみやく好きな本の一冊です。

再会

お店をやっていると、思わぬ再会や出会いがある。
約束をして、というのとも道ばたで偶然というのとも違う。
お店を開けていて良かったなと思う瞬間でもある。
とはいっても先日は事前に連絡を頂いていたのだけれど、
美味しいパンを作るGET WELL SOONの八代さんが
Pさんと一緒にお店に来て下さった。
八代さんとはイベントでちらりとお会いする機会があったものの
ちゃんとご挨拶がなかなかできずにいたし、
Pさんとは年賀状のやりとりは続いていたものの
実際にお会いするのは実に7〜8年ぶり。
嬉しい再会となりました。
そもそも「三春」という土地を知ったのも10年以上前に
Pさんが企画したイベントに参加したことがきっかけだった。
今思えば、あんざい果樹園のあんざい家やエフスタイルのお二人、
福島市のPICK UPなどなど、いろんな方々との出会いもそのイベントが始まり。
何かの種はそのときすでに蒔かれていたのかもしれないと思うほど。
まさかまさかその土地に住み、しかもお店をやることになろうとは
その当時の私は想像すらしていなかったけれど。
顔を合わせれば会っていなかった時間などなかったかのように話が弾み、
でもまだどこか不思議な感じもしている。
今度はPさんがお仕事をしている薪ストーブ屋さんを訪ねてみよう。
20160703-ゼリーのいえ.JPG
そうそう。
先日お店によく来て下さるお客さまから頂いたおやつ。
いわき市にある「ゼリーのイエ」のゼリー。
これを教えてくれたのもPさんだった。
「ゼリーのイエ」を食べるのも何年ぶりだろう?
Pさんと会っていないのと同じくらいだったかも。
きれいなだけでなく、とっても美味しい人気ゼリーなのです。

ただいま

昨日は展示会が終わってから佐々木美穂さんと
Zakkaで待ち合わせをしていた。
Zakkaの階段でまずコケた。カッコ悪い。
手や膝をつくほどではなかったのが救いだけど
よりによって眸さんと美穂さんの前で恥ずかしかった。
お客様が代わる代わるでお忙しそうだから
申し訳ないかなぁと思いつつ
美穂さんとお茶するなら今日はZakkaが良いなぁと思っていたので。
昨日のアロマもそうだけれど、ここだけの時間の流れ方と
空気とそこに並ぶものたち。
場所が変わってもそれらは何も
ゆるがないってすごいことだなとつくづく思う。
東京へ来てあれを見てこれを見て…という刺激も
たまには必要かもしれないけれど、今の私にとっては
その時間をじっくり味わうことで十分大きな刺激。
美穂さんとの会話やおしゃれも。
大人の女性はやっぱり小さなバッグだなぁとも再確認。
私の一日にしてはつめこみすぎかと思いつつ、
帰る前に寄らねばと、またまたぐいーんと移動して蔵前のカワウソへ。
カワウソの萬田くん(イタリア帰り)が美味しい赤ワインを用意して
待っていてくれた。
私はお土産の三春素麺と三春の駅で買った朝採りのズッキーニ、
aalto coffeeのアイスコーヒーブレンドを。
ズッキーニは早速アンチョビと一緒にソテーしてくれて赤ワインと好相性。
あぁこの感じ、この感じ。知ってる、知ってる。
もうすぐ夏がやって来るというこの時期の川風の心地よさ。
なんてことないこと(でもこれが案外大事)をしゃべって
笑って、美味しいワインとつまみがあって。最高だなぁ。
カワウソはあくまでも写真事務所だけれど。笑
ただいま!と言える場所があり、「おかえり」と言ってくれる人が
あちこちにいる。これってかなりシアワセなこと。
人の気持ちをゆるめて、ほぐして、癒してくれるのは
自然だけでなく、人や、土地、空間も。
そんなことをホロ酔いの頭でつらつら考えながらの新幹線車中。
降り立てば、そこにもまた「ただいま」と「おかえり」が。
濃い一日でした。

お江戸へ

定休日を使ってお江戸へお仕事。
Pois Eの展示会へ。
夏はこれからですが、ファッション界はもう秋冬なんですよ。
少し早めに三春を出て、10時には上野に到着。
台東区役所で期日前投票を済ませ、
その後合羽橋で諸々買い出し。
少しすっきりした気分で
向かった先は浅草の喫茶店「アロマ」
そろそろなのでは…と期待をしながら店内に入るとありました。
「プラムジュース」の貼り紙が。
この季節だけの味わい。普段は(お酒以外で)冷たい飲み物は
ほとんど飲まないのだけれど、これは別。
アロマのプラムジュースを飲みと「あぁ夏がやって来るんだなぁ」という
気持ちになる。そしてその後はお決まりのオニオントーストと
ピーナツバター、マーマレードのミックス。
で、コーヒーというフルコース。
あぁ至福。
20160703-プラムジュース.JPG
私以外、客人がめずらしくいなかったので
久しぶりにお会いするマスターとポツポツおしゃべり。
ひととき東京の喧噪を忘れ、ゆっくり過ごしてまた来ます!とご挨拶。
自分にとっていつ訪れても変わらない時間と空間と味があるって
日常になってしまうと忘れがちだけれど、本当に本当に貴重なこと。
アロマに、マスターに会いにまた必ず行こう。
そして地下鉄で縦断。表参道へ。
Pois Eの展示会では新作を見るのを楽しみにしているのはもちろん、
平岡夫妻に会うことも私にとっては大きい。
なんというか、安心感があるのだ。
それはつくられている帽子も一緒。
in-kyoで、というと選ぶものは限られてしまうのだけれど、
定番も新作もいつも大好きな世界観。
伺うことができて良かった。
しかも夏至の宮田姉妹とも久しぶりのバッタリ。
kitのさわらぎさんとも。
約束をしていなくても
ご縁がある方とは会えるようになっているものですね。
つづく…

選挙

7/10は衆議院議員選挙。
皆さん選挙へ行きましょう!という
呼びかけを耳にしたり、あちこちで見かけますが、
恥ずかしながら転居をして初めて知ったことが。
転入届を出して3ヶ月未満の期間中に行われる
衆議院選挙の場合、転入前の住所(私の場合は東京)の
選挙区での投票となるということ。(詳細はもっと複雑ですが)
今住んでいるのは福島県の三春町でも
私の場合、今回の投票は東京の選挙区立候補者から選出しなければ
ならないそう。知らなかった…。
投票自体は届出申請をすれば現在の管轄地域で期日前投票(不在者投票)が
できるものの、あくまでも今回のケースは東京の選挙区の投票。
そういった制度があるので(しかも知らずにいたので)致し方ないのでしょうが
地域の将来をと考えると、なんだか自分が宙ぶらりんというか、心境は少々複雑です。
そしてやはり選挙について、各政党・候補者について
もう少しわかりやすいサイトなどがあるといいなぁと。
選挙は簡単なことじゃないからこそ
よく考えてじっくり選ばなければなんだけれど。。。

ピカピカの

梅雨の晴れ間。
カラリと晴れて風も気持ちいい。
家にいたら洗濯三回戦!布団も干して!と
やりたいところだけれど…なんて思いながら
お店の掃除をしていたところにお隣さんが
ピカピカのキュウリをお裾分けして下さった。
「朝採りのキュウリをいただいたから」
って。
いつもありがとうございます。
早速お昼ゴハンにスライスしてパクリ。
みずみずしいだけでなく、青々とした香りと
いろんな味が水分と一緒に口に広がった。
20160628-キュウリ.JPG
先日訪れた三島の工人まつりのFOODスペースでは
キュウリの1本漬けが売っていてちょうど暑い日で
美味しかったなぁなんてことを思い出した。
なんだ、カゴじゃないの!というお声も聞こえてきそうですが、
何か良いものがあれば買い付けを…と思っていたものの
そういう方々は土曜日の朝一に行かれるそうで。。。
と、薄々わかっていながら日曜日に行き、
純粋に工人まつりを楽しんできました。
やはり楽しいのはいいモノに出会える以上に
作っている方々との会話というか
それほどベラベラとおしゃべりをするわけでもないのですが
ささやかなやりとりを楽しみにしているところもあるのです。
思いがけず、たいまぐらの桶正さんご夫妻との再会もあったり。
小さな出会いひとつひとつがモノとの思い出にもなるのかななんて。
モノの値段とか需要と供給とか。
人が手でつくるもの、やることはなかなか上手く計れるものでもないから
バランスって難しいなぁとつくづく。
送迎バスの駐車場のおじさんには
朝一番乗りだった私たちがあんまりにもゆっくりしていたようで
「あら、あんたたちまだいたのー」なんて笑われて。
同時開催されていた宮下地区の町中でのイベントも満喫。
帰りには「つるの湯」で温泉に入り、
柳津であわまんじゅうをお土産に。
そして郡山まで帰って来たら〆は大好きな中華料理の「太陽」へ。
はじめての工人まつりは、なかなか大充実の一日でした。

寝が浅いんだろうか。
昨夜はどうやらうなされて叫んでいたらしい。
何の夢を見ていたんだろう。
ここのところ寝言も続いているようで。
朝方見た夢の舞台は江戸時代だったことは
覚えているのだけれど。
今朝は早朝団地の草取りの日で
張り切って参加のはずが貧血がひどくて
夫君に託し、私は掃除やら洗濯やら家仕事をして出勤準備。
皆さんが作業をしている様子が窓越しに見える。
子どもの頃は病気がちで、外で友だちと遊ぶ兄を
2階の部屋の窓から見下ろしていたことを思い出した。
ワサワサと茂っていた駐車場周りの雑草が
きれいに刈り取られてスッキリ。今朝の晴れ渡る空のように。
お店に来て掃除を終える頃には血が巡ったのか
何事もなかったかのように元気になって
お店の裏手にある桜川沿いを散策。
夜とは違う濃い緑の匂いがする。
三春の町の紫陽花は色とりどりの花を咲かせ始めました。
20160626-紫陽花.JPG

蛍の里

お店の目の前にはスーパーの「ヨークベニマル」がある。
その壁には近くの「まほらホール」で行われる
クラシックコンサートのポスターや
町の行事ごとのお知らせが掲示されている。
今月に入ってずっと気になっていたのが
「自然観察ステーション」で行われるホタル観察会。
それが今日の18時30〜。
ぜひ参加したいと思っていたけれど時間が間に合わず、
それでも…と仕事帰りの夫君と連れ立って「蛍の里」へ。
細い山道を車でずんずんと進んで行く。
見落としそうな曲がり角には「蛍の里」という看板と共に
「平家落人の里」の看板も。
街灯も無い真っ暗な道で、少々不安。
「平家落人の里」の文字が頭に浮かび、想像力たくましく怖くなり、
もう引き返そうかと思った頃に道が少し開けて田んぼが現れた。
建物など何がある訳ではなくそこが「蛍の里」。
雨がシトシトと降り始めたけれど、車から降りて傘をさし、
田んぼと山の闇に目を凝らしていると、
ふわーり ふわーりと青白い光がお出迎え。
耳に響くのは、降り始めた雨を喜ぶかのような蛙の鳴き声。
私たち以外の観客は誰もいない中、自然のライヴのはじまりはじまり。
月も出ていないのに空の方が明るく感じるほど
山の闇が濃く深く迫って来るようで恐怖さえ感じる。
そのまま佇んで見惚れているうちに
闇にのまれてしまいそう。
闇の中の淡い光はそれくらい美しく幻想的だった。

今年も

昨年のこと。
朝お店の花壇のまわりを掃除をしていたら、
ご近所の方(ただ者ではない雰囲気の方だったので
心の中で「師匠」と勝手によんでいた)に青梅をたくさん頂いた。
こちらはよくお見かけしていたものの、挨拶すらしたことも
なかった方だったので突然のことに驚いた。
師匠:「あなただったら何かにしてくれるんじゃないかと思って」
私: 「???」
その梅は湯島天神の梅とのことで、
まだ小さく、キズがいっさい無いところを見ると
落ちたものを拾ったのではなく、枝から摘んだものだろう。
湯島天神の梅を摘んでいい人って一体何者…???
後からわかったのだけれど、「師匠」は女性の噺家さんで
大御所も大御所。あだ名でもなんでもなく、「師匠」に間違いはなかったのだ。
「師匠」からの大事な梅仕事はプレッシャーだった。
私が忙しかろうがなんだろうが梅は待ってはくれない。
お店が始まる前の時間を使って、
半分は梅干しに、もう半分は黒糖で梅シロップにして1年が経った。
最近になってずいぶんとこなれた感じの味になってきた(気がする)
この梅、「師匠」に味見して欲しかったな。
今年は南高梅を手配してその梅が昨日届いた。
香しい梅の匂いが部屋中に充満している。
香りもいいけれど、青梅のおしり(と呼んでいる)が
赤く染まっている様子もなんともかわいらしい。うっとりしてしまう。
20160624-梅仕事.JPG
今年は半分を贅沢にハチミツ漬けに。
(張り切っていいハチミツ使っちゃいます!)
もう半分は追熟を待って梅干しに。昨年の倍の量。
仕事を増やして何やってんだい?と思うけれど、
祖母が当たり前にやっていたようなこういうことを
「ていねいな暮らし」とかではなく、普通のこととして
私もただやりたいと思うだけ。
黙々とやる梅仕事、けっこう好きなのです。