10月。
今年は残暑も昨年ほど厳しくなく、
静かに涼しく秋めいてきたような気がします。
が、今日は少し暑い。
先週末はもみじ市や銀座松屋で毎年恒例となっている
銀座手仕事直売所。
もみじ市へは行けませんでしたが
松屋には月曜日に行って、
お知り合いの方々と立ち話をしつつ、
お店とは頭を切り離して、モノの面白さを純粋に楽しんだ。
とはいえあまり時間もなかったので、ひとつひとつじっくりと
とはいかなかったけれど、パッと目に留まったやちむんの
小皿と小さなぐい呑み、そして豊永盛人氏の張子の人形を。
小皿と小さなぐい呑みだけでも
自宅の器の顔ぶれに新しく加わると
ちゃーんと存在感を発揮して、
食卓を新鮮にしてくれるんだなぁと嬉しくなった。
この小さなワクワク感。大事だなぁ。
漆継教室と料理教室
日曜日は月に一度の漆継教室の日。
毎回宮下夫妻と一緒に9月末で9ヶ月になるさなえちゃんも
教室に参加?見学?笑
月に一度。
大人の速度からいうとあっという間で、
その1ヶ月のうちに自分が何か成長なり何なりがあるかというと
挙げられるものが情けないかな、まるでない。
けれどもさなえちゃんは着実に
めまぐるしい成長が見られて、こちらがびっくりするほど。
このエネルギーはなんだろう?
漆継ぎの教室に加えて、さなえちゃんに会えることも
楽しみのひとつになっている。
午後は青山へ、食のギャラリー612の
たなかれいこさんのお料理教室へ。
以前の日記にも書いたけれど、
たなかれいこさんのお話は興味深いことばかり。
レシピを習いに行っているというよりも
「おいしい」の本質を知るために
もっともっと広い範囲で食べもののこと、
体のこと、社会のしくみなども
同時に考えようという気持ちになる。
料理だけ作れて覚えたらそれでおしまいなんかじゃなく、
色々なことはつながって、そして自分の体へと
かえってくるのだなぁと。
学生の頃の授業とは全く違って
とにかく新鮮で楽しいし、何より美味しい。
大人になってから通う教室というのは
なかなか良いもんです。
子供の頃、ピアノ教室をよくサボっていたけど、
興味を持って今行き始めたら違うのかも。
余韻
東川から札幌へ戻る安齋ファミリーの車に同乗して
帰りは千歳空港から羽田へ。
月曜日の夜中に帰ってきました。
強行スケジュールのようかもしれないけれど、
取り立てて詰め込む用事も無かったので気持ちが
急かされることもなくゆったり。
雄大な自然を目に焼きつけてきたので心地良い疲れが体に残っているだけ。
今回トークイベントを一緒にやってくれた
安齋明子さんの言葉を思い出していた。
明子さんには福島から札幌へ移住して、
現在の暮らしのことや考えの変化などお話をして頂いた。
「10年先とかずっと先にあぁしたい、こうしたいといったことは
考えていないんです。それよりも今目の前にある幸せをかみしめて
大切に暮らしていくこと。その積み重ねなんです」
私も震災後にそんな風に考えるようになった。
あまり遠い未来のことが考えられなくなっている。
いつ何時何が起こるかわからないのだから。
今この瞬間を大切に。その積み重ねなんだと。
この先そのときの選択と判断で、変化していくことがあるかもしれない。
それがたとえ今までとは違う方向に向かうことになったとしても
自分のこと、ましてやその決断をした他人を否定せず認めたい。
それぞれの立場の選択というものがあって、
自分の考えとはまるで違って受け入れ難いことが
日常にはたくさんある。
葛藤もするし、怒りもあると思う。
けれどもそこでピシャリとシャッターを下ろすだけじゃなく
(たぶんその方が簡単だと思うけど)自分とは考え方が違うけれど
そういう考え方の人がいるんだと思えるくらいの余力のようなものは
持ち合わせていたい。その上で自分のスタンス、
軸はどこに持っていくのかはっきりとさせておく。
休日の蔵前はお隣浅草と違って、
青空の下、のんびりと穏やかな空気に満ちていた。
旅の余韻に浸りつつ、あれこれと考えをめぐらす。
震災がなかったらここまで暮らし方や生き方を真剣に考えることも
なかっただろう。
考え続けていくんだろうな。
そうしていかなければ。
古い校舎を改装したギャラリーで
21日。
空港に車で迎えに来て下さった雅美さんの
案内で、東川へ行く前に美瑛まで足をのばした。
車中お話をしながら目の前に広がる景色の美しさに
ついつい見惚れてしまう。
黄金色に染まる田んぼの光景は、関東や先日の鳴子で目にしたものとは
少し違う。なぜだろうと車を降りたときに見た稲は
背が低くてガッチリとたくましい印象。
田んぼ全体を見ても隙間なくみっしりと生え揃っている様子。
これも気候や環境の違いなんだろうか。
どこまでも広がる田んぼや畑の風景は、ヨーロッパか
どこかのようにも感じられるほど。
遠くに見える大雪山にはすでに白く雪が積もっていた。
途中途中、野菜の直売所に寄りながら、
到着したばかりだというのにどれもこれも
美味しそうな野菜や豆、珍しい果物を目にして我慢できずにお買い物。
荷物を抱えていざ北の住まい設計社へ。
なんと美しいところなのでしょう。
ちょうど札幌から到着した安斎ファミリーと合流して、
お昼に用意してくださった美味しいスープやパンを
中庭でご馳走になる。子供たちも一緒でまるでピクニックにでも
来たような気分になってしまった。
が、これからが本番。
築80年の木造校舎の一部を改装したギャラリーに
馬場わかなさんの写真が展示され、その空間で
安斎明子さんとトークイベント。
参加して下さったみなさんが素敵な方ばかりで
「暮らしは…」とか「大切なことは…」とか「豊かさとは…」など
私が話をするまでもないな。というか私が発した言葉が
宙に浮かんで消えてしまうような気が話しながらしてしまった。
あ、でもそれは悲しいことではなく、むしろ
それは素晴らしいことで、私が元気というか刺激を頂きました。
あの雄大な自然を前にして、ヒトがどのように寄り添って
生きていくべきかを知っている方々なんじゃないかと。
こうした豊かさやシアワセのかたちの連鎖を広げるためのお話会。
これからも機会をつくっていろんな場所で続けられたらと思います。
参加して下さったみなさま本当にありがとうございました。
またこのような機会を与えて下さった
北の住まい設計社・渡辺雅美さんはじめスタッフのみなさま
大変おせわになりました。ありがとうございます!
馬場わかなさんの写真展は引き続き10/5(日)まで、場所を店内の方へ移動して
ご覧頂けますのでお近くの方はぜひお立ち寄り下さい。
東川は水も美味しくて自然が美しくて、
人もお店も素敵な魅力溢れる土地でした。
快晴だった21日の夜は空気も澄んでいて、
見上げた夜空には満天の星。
安斎ファミリー&家族の一員どっちゃん。
楽しい滞在になりました。ありがとう!
いつか雪の降る季節にも訪れてみたいなぁ。
北海道・東川へ
旅の前はいつもバタバタ。
めし碗展のDM発送のために開店前と閉店後に郵便局へ。
21日に東川にある北の住まい設計社さんでのイベントで使う
コーヒー道具一式、お泊まりセットの準備などなど。
変なところでA型が顔を出し、
旅へ出る前に部屋が片付いていないと
どうにも落ち着かず、夜中に掃除や片付けなんかをしてしまう。
誰も見てないんだからいいのにと思うのだけれど、困った性分。
朝4時起きして羽田空港へ。
家を出たときにはまだ暗かったのに、
モノレールに乗っていると、ちょうど日の出の時間で
朝焼けに照らされた真綿のような雲がキラキラと輝いていて美しかった。
6:45発の旭川行きの飛行機。
乗って読み始めた文庫本のページは
見開き1ページほどしか読み進めることができずに
深い深い眠りに落ちた。
旭川の空港へは早い時間だというのに
北の住まい設計社の渡辺雅美さんが迎えに来て下さった。
気持ち良さそうな白のリネンのシャツに、
地厚のリネンでできた墨黒のエプロン。
使い込まれた風合いが体に馴染んでいらっしゃって
とても素敵。雅美さんの清潔感のあるその佇まいは、
空港の到着口で朝陽みたいに輝いて見えた。
またまた振り返り日記
19日 出張・旅ベーグルの日。
金曜日の定休日に朝焼きたてのベーグルを
旅ベーグルの店主、松村純也氏・通称 松純(谷中の)が
持って来てくれる。
お店はお休みなのに、休みになっていなくて申し訳ないのに
in-kyoで販売することを楽しみにしてくれているのが有難い。
この日は6月に生まれたばかりの赤ちゃん、日美(ひび)ちゃんも
連れてきてくれた。久しぶりに会う奥さんのいくみちゃんも
元気そうで何より。
まわりはなんだかベビーラッシュ。
私に抱っこされているとも知らずに
スヤスヤと眠る日美ちゃんは天使そのもの。
こちらまでシアワセな気分になって眠くなってしまった。
鬼首のお祭りのこと
先日訪れた鳴子温泉の一番山側、
もう少し行けば秋田という場所に位置する鬼首(おにこうべ)。
そこにある荒雄川神社の例大祭へ、さとのわを主宰している
鈴木美樹さんが案内して下さった。
辺り一面杉林。
普段はさぞかしシンと静かな場所だろうと想像しつつ、
鳥居のある神社へと続く急な坂道の入り口に着くと、
賑やかな笛や太鼓の音が聞こえて来た。
その音に誘われるように、息を切らしながら慌てて
最後の階段を登り切ると、神楽がすでに始まっていた。
藤原氏の時代から伝わるというその神楽は、
鬼首に暮らす町の人たちによって受け継がれている。
決してきらびやかでも荘厳なものでもないのだけれど、
なぜか惹きつけられた。
それは舞の素晴らしさや衣装にということよりも、
お祭り全体を包む親密でのんびりとした
あたたかい空気のようなものに対してだったように思う。
演者やお囃子の人たちをはじめ、小さな境内に集まる人たちの
ほとんどが地元の方々。
ビールや焼き鳥、玉こんにゃくやたこ焼きなどを
出店で販売している方々も。
出店のおかあさんに
「どこから来たの?」と聞かれたので
「東京です」と答えると、
缶ビール1本を買っただけだというのに
お漬け物やら、おこわやら
ビールの5倍くらいのおつまみをたくさん。
地元のお母さん方が作ったおつまみのお裾分けは
どれもこれもホッとする美味しさだった。
そして、お祭りは昼間に行われたこの神楽だけではなく…
18時頃から心鼓会の、山に響き渡る力強い太鼓の音を合図に
住民による演芸会のはじまりはじまり。
司会も地元の方だし、出演者も地元の子供たちからご年配の方々まで。
決して強制ではなく、町の地区ごとに出演したい人たちが演じたいものを
自分たちで考えて、衣装から振り付けまであれこれ工夫をして
きっとこの日のためにずいぶんと練習をしたのでしょう。
始まりは雨が降っていたにも関わらず、境内は多くの人が集まって
出ている人も見ている人も
みんな本当に心から楽しそうにしていた。
その光景があまりにもあたたかくてすっかり感動してしまった。
昼間の神楽に加えて、お祭りで行われるこの演芸会も
この地域では大事な行事のひとつ。
どこどこのだれだれ。
そのことをみんなが知っている。
ひょっとしたら煩わしさを感じることも
あるのかもしれない。
けれどもこれから始まる長く厳しい冬の期間や
稲刈りなどの農作業の前にアハハと笑って「娯楽」を共有して
「さて明日からまた頑張るか」とか
何かあったときには
「お互いさま」と助け合うことのできる
人のつながりが自然と強く結ばれているようです。
それはどこか湯治文化とも似ていて、
鈴木美樹さんのご案内のお陰で
この土地ならではの魅力を知ることができました。
といってもまだまだほんの一部だけれども。
周辺の町でも昔は同じようにお祭りで
地域住民の演芸会などが行われていたことも
あったようだけれど、今でも変わらず続いているのは
この荒雄川神社の例大祭のみとなっているそう。
秋晴れとなって
朝から爽快。
天気が良いというだけでこんなにも気分が良いとは
我ながら単純にできているもんだなぁ。
今朝は旅の間にたまった洗濯物を一気に洗って
部屋の掃除もしてようやくひと落ち着き。
お店をお休みしている間にひとつまた歳を重ねました。
45歳です。
自分でも口あんぐり。
そこまで歳を重ねただけの何かが自分にあるとは
到底思えない。が、そんな自分なのだと受け入れるしかない。
まだまだこれから頑張らねば。
お祝いのメッセージをたくさん頂いて本当にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
お会いできる機会がある方にはまたその際にあらためて。
いくつになっても自分が生まれたその日を祝って頂けるのは
本当に嬉しいことです。
誕生日のその当日は、福島から車でやって来たあんざい果樹園お母さん
Tちゃん、Sちゃんと結城の駅で合流して、
先日(といってももうずいぶん経つけれど)
10周年を迎えたカフェ・ラ・ファミーユさんへ。
訪れるのはかれこれ4〜5年ぶりくらいだろうか…
少しずつ少しずつ手を加えて、そのときそのときの居心地の良さを
探りながら店づくりをされている奥澤夫妻に脱帽。
年に一度、手紙のやり取りをしているくらいで
しばらく会っていなかったけれど、その間にいろんなことがあった中で、
コツコツと濃い時間を積み重ねてこられたんだなぁとお店を見てそう思った。
私の重ねた歳とはワケが違う。
同じ10年でも密度が。
in-kyoが来月末でまる7年。10年続けていくことができたとして
充足感のある10年だったと振り返ることは果たしてできるだろうか…
ランチのデザートには「Happy Birthday Chie」のメッセージが添えられて、
その上スタッフの皆さんの演奏つき!?ひゃぁやられました。
訪れた人たちにそこで過ごす時間を
満足してもらえるようにという気持ちが惜しみない。
お陰で滞在時間が恥ずかしくて言えないくらい長居をしてしまいました。
ファミーユのみなさん、一緒に連れて行ってくれたみんな、ありがとう!
帰りはSちゃんとバトンタッチをして
今度は私が乗車して福島へ。
福島に到着してからはまたまたお仲間たちが合流して晩ゴハン。
素敵な誕生日の一日となりました。
今こうして元気で楽しく過ごせているのは
皆さんのお陰です。感謝の毎日。
今朝
8日に茨城県・結城市のファミーユ→福島のあんざい果樹園→
9.10日と宮城県・大崎市鳴子→福島経由で今朝東京へ戻って
お店をオープン。9.10日と臨時休業を頂きました。
わがまま営業で申し訳ありません。
この旅の様子はまた追って日記に綴っていこうと思います。
昨日の短時間での局地的な集中豪雨。
ニュースでは台東区が報道されておりましたが
お店のある蔵前界隈は大きな被害もなく、
今日は夕方から晴れ間ものぞき、おだやかに陽が暮れていきました。
同じ台東区で災害に遭われた方々、その他の地域の様子も心配です。
被害ができる限り最小限であることを祈ります。
明日は久しぶりのcimaiのパンの日。
天気予報は晴れのマーク。
気持ちの良い秋晴れの一日となりますように。
ようこそ
昨夜は雷ゴロゴロ。ピカリと青白い稲妻も。
蒸し暑かった昨日とはうって変わって肌寒い朝。
お昼過ぎに家を出て友人宅へ赤ちゃんに会いに。
1カ月に満たない赤ちゃんを抱っこするのは初めてかもしれない。
おそるおそる首に手を添えて、大事に大事に抱えるようにして。
はぁぁぁ。
真新しい生命とはなんて清らかなんだろう。
白くてふにゃふにゃと頼りないほどにやわらかいのに
ピカピカの力強いエネルギーに満ちている。
ずっとずっと見ていても飽きなくて、
思わず涙が出そうになった。
友人夫妻も本当に本当に幸せそう。
いろんなことが起きていて、未来はどうなっていくか
心配なこともたくさんある。
けれどもあなたが生まれてきてくれたお陰で
たくさんの人たちが幸せな気持に満たされてる。
自然と顔がほころんでしまう。
鳴き声を聞いても大人たちは笑ってあなたをあたたかく見守ってる。
ようこそ。
生まれてきてくれてありがとう。
大人たちも頑張るから。