24日の福島民報新聞の朝刊・民報サロンのコーナー
にて文章を書かせて頂きました。
今回は自分の「暮らしの根っこ」となるものについて。
この執筆も来月4/14(金)掲載分が最終回となります。
後で気がついたのですが、先日訪れた古殿町で林業(木こりと呼んでます)を
されている水野林業の水野さんも執筆陣のひとり。
本当にみなさんいろんな職種の方がいらっしゃって、
私自身も毎日読むのを楽しみにしているのです。
しかも40年も続く人気の長者コーナーなのだとか。
そんな場で自由に文章を書かせて頂くことが
毎回とっても楽しいです。
先日、開店前にお店の花壇に水やりをしていると
自転車に乗った通りがかりのおばあちゃんが
「民報サロン読んでるよ〜!」と言って「ニッ」と笑って
ゆ〜っくり走り去っていきました。
突然のことでぽか〜んとする私。
はっ!と我にかえってその背中に向かって
「ありがとうございま〜す!」と。
地域密着だなぁ。
喜んでもらえたり、応援してもらったりが
こんなにもダイレクトに循環している感覚。
これまでもきっとそうだったのに、
自分がそれに気づく余裕とキャパが
足りなかったのかもしれないなぁと思うこの頃。
三春のゆるやかな時間の流れのお陰で
気づかされることがたくさんある。
はじめての町へ
福島県は広い。
三春へ引越をして来て1年になるが、県内どころか
三春町内もまだまだ土地勘が働かない場所があるというのに
町外のことはなおさら。
先週は夫君の知人で「一歩己」という日本酒が人気の豊国酒造の蔵元、
そして同じく町内の山で林業に携わる方々を訊ねて古殿町まで足を伸ばした。
どの町にもそれぞれの顔というものがあり、
ただサッと訪れただけではもちろん把握などできないけれど、
古殿町は風情のある落ち着いた町だった。
ちょうど三春でも雪が降った日で、
思いがけず雪山に案内して頂いた。
シンと静かで空気も水も澄んでいる。それは酒蔵の中も同様に。
神が宿るというのか。神聖な場所。
自分たちだけではきっと訪れることの
なかった場所にまた縁が広がった。
帰りは母畑温泉へ。
温泉でご一緒になったお母さん方が三春から来たと言うと、
一生懸命帰りの道を教えてくれた。
「ウチの前を通ってずーっとまっすぐ、空港の方へ走って…」
早口でたくさん話しかけられていたので「はい。はい」と返事をするのが精一杯。
しかも話を聞いている間、熱ーいお湯にずっと浸かっていなければならず、
のぼせてしまいそうだった。
で、その「ウチ」は一体どこなんだろう?とはもはや聞けずじまい。
(聞いたらさらに長引いていたので良いのだけれど)
そして先日は会津の芦ノ牧温泉へ。
こちらもはじめて訪れた場所。
義父母が以前に行った温泉旅館がとっても良かったから
一緒に行こうと誘ってくれたのだ。
夕方まだ明るいうちに川の流れを眼下に見ながら温泉に入り、
よく食べ、よく飲み、よく笑い、そして夜になって降り出した
雪を眺めながらのまた温泉。
これを延々と続けたら日常になど戻れなくなってしまいそうだけど、
夢でも見ていたみたいにほんのひとときでもそんな時間を過ごすのも
たまにはいいのでは?お陰で頭の中までゆるゆるとゆるんだ。
帰りには「塔のへつり」や「大内宿」などの観光地も。
自分たちだけではなんとなく過ごしてしまう休日が
思いがけない小旅行に。義父母に感謝。
福島は広い!
おやつ
先週の休日、友人に教えてもらったレシピで
久しぶりに(数年ぶり)自分で焼き菓子を作ってみた。
東京に住んでいた頃は、自分が作らなくても
まわりに美味しいものを作る人たちが
たくさんいたし、お店も色々とあるので
恵まれていたなぁとつくづく思う。
今は思い立ってすぐに手に入る状況でもなく…
ならば自分で作ってみればいいのか!と
食い意地が手助けとなって久しぶりに作ってみることにした。
もちろんすこぶる美味しいものが
そう易々とできるわけでなないのだけれど、
自分で作った出来立てを味わうことができるのは悪くないなと。
普段のおウチおやつには十分。
こうやって作ってみてわかることは、
美味しいものを作ることのできる人たちの
素晴らしさ。尊敬する気持ちもさらに今まで以上のものになる。
そんなことを思っていたら、昨日はいわきの「野らぼう」の
プリンを持って東京から友人がお店に来てくれた。
彼女に出会ったのはかれこれ10年以上前になる。
初めは千石にある喫茶店・八百コーヒーで。
その後は頻繁にではないにしても、
約束をしていないのにいろんな場所で会うこと数年。
そういう関係の友人が他にも何人かいるのだけれど、
東京から離れてもこうしてまた会えるのだから本当に嬉しい。
(いや、今回はわざわざ会いに来てくれたのだけど)
そしてこのプリンは彼女の妹さんが作っているもの。
これがまた美味しいのだ。
そして今日は夕方にTea Room Colineの高橋さんが
お菓子を差し入れして下さった。
今日の教室で作ったばかりのできたてのグラノーラと
フラップジャックという焼き菓子を。
美味しいものは姿かたちも美しい。
昨日、今日と贅沢おやつ。
でもまたおウチおやつも自分で作ってみようっと。
今年の春分
昨夜はお店が終わってから夫君の実家へ。
義父母と東京からの友人来客も交えてのお家ごはん。
いやぁ楽しいひとときでした。
つい夜更かしとなってしまったというのに
今朝はスッキリの目覚め。
あぁ今日から新しい年、季節が始まるのだなぁということが
理屈でなく、体でわかるような感覚。
辺りを漂う空気や光もやわらかく、そして真新しく感じられた春分の日。
昼と夜の長さが同じ日。
ここからまた。
ブランニューな日々のはじまりはじまり。
お知らせページとリンクして
「お知らせページ」に来月のくまがいのぞみさんの
展示と期間中のイベント「おやつの日」の
お知らせをUPしました。
画像が掲載できないのでこちらのページにて。
まずは3/20(月)正午〜予約受付開始の
もりかげ商店特製「桜のどらやき」の写真を。
(こちらのお渡しは4/22(土)12:00~となります)
写真の撮影はもりかげ商店の森影里美さんがして下さいました。
皮も美味しそう!
白あんに桜がしのばせてあるそうです。
花より団子?桜を愛でつつ味わって頂けたら嬉しいです。
数もたくさんご用意してくださるとのことですので
お申し込みお待ちしております!
そして4/21(金)の展示初日に販売する
もりかげ商店のお菓子の代表選手。
「かりんとう」
甘さはほんの控えめに、ポリポリカリカリっとした食感は
やめられない美味しさです。
素材を吟味してひとつひとつ丁寧につくられたその他のお菓子たちも
味はもちろん、そのかたちのかわいらしさ、美しさもおすすめの理由です。
福島でははじめてのご紹介となるもりかげ商店のお菓子たち。
小さいお子さんからご年配の方まできっと喜ばれると思います。
ご家族、そしてお土産としてもぜひ。
お次ぎはdans la nature の焼き菓子のご紹介を。。。
お知らせページとリンクして その2
今回のDMにも登場しているdans la natureのお菓子は、
これまでも移転後のin-kyoでイベントの際やワークショップの際に
ご紹介させて頂いていて、すでにファンの方も!
嬉しい限りです。
美味しいものはつい誰かに教えたくなってしまうものですよね。
dans la natureのお菓子たちは
食べるとふわっとやさしく幸せな気持ちになるんです。
ずっと作り続けられている定番のお菓子たちの味わいは
ふとしたときに思い出す懐かしさにも似ていて。
素敵な写真は千葉奈津絵さんにお願いして送って頂きました。
↓
キャラメリゼしたアーモンドがコーヒーにぴったりの
フロランタン
どれも大事に味わいたくなる美味しさ。
実はdans la natureの千葉奈津絵さんも
もりかげ商店の森影里美さんも今回展示を行う
くまがいのぞみさんと縁の深いお二人。
そして期間中にはお買い上げ下さった方へくまがいさんからの
プレゼントとして料理家の瀬戸口しおりさんが
作ったお菓子をご用意しております。(これもくまがいさんが
個展のときはずっと続けていらっしゃることなんです)
DMのデザインをして下さった川原真由美さんにも
毎回お願いしていて、今回は文字面に季節を意識して
ピンクの色を添える提案をして下さいました。。
三春に移転してからはじめてとなるくまがいさんの個展ですが
こうしてみなさんと一緒に何かができることが嬉しく、
私自身も展示をとても楽しみにしております。
ぜひ春の三春へお出かけ下さい。
滝桜や街中の桜情報もお知らせできたらと思っております!
くまがいのぞみさんの展示
以前にも告知しておりますが、
陶芸家・くまがいのぞみさんの展示をin-kyoにて
4/21(金)~5/2(火)の期間に行います。*4/26(水)のみ休み
DMが出来上がり、発送させて頂きましたので
早い方にはお手元に届いていることかと思います。
(店頭でも配布しております)
「おやつの時間」というテーマでくまがいさんが様々な器を
ただ今絶賛制作中です。
コーヒーや紅茶、日本茶などにも合うカップや
ケーキ皿、豆皿、ピッチャー、なにかと重宝するミニカップなど。
他にもお菓子作りにもそのまま使える耐熱カップも素敵です。
様々な色や手触りが楽しく、使いやすさももちろん良いくまがいさんの器。
私もまだまだ見ていないものがたくさん届く予定です。
(くまがいさんご本人も4/21~23 28~30日には在廊して下さいます)
どうぞどうぞお楽しみに。
期間中はテーマに合わせて「おやつの日」と題してお菓子の販売日もあります。
4/21はもりかげ商店
4/29はdans la nature
内容など詳細はまた追って「お知らせ」ページにUP致しますので
もう少々お待ち下さい。
三春の滝桜の開花予報が4/中頃とラジオで言ってました。
展示の始まりはちょうど見頃となると良いのですが。
展示とお花見と。
ぜひこの機会に春爛漫の三春のin-kyoへお越し下さい。
師匠の
度々登場する師匠。
ご本人はまさか師匠と私が心の中で思っているなどとご存知ありません。
が、ことあるごとに思わず「師匠!」と呼びたくなることがしばしば。
つい先日も作りたてのちらし寿司をご主人が運転する
車に乗って持って来て下さった。
ひとつひとつ丁寧に煮含めて手間をかけて味つけした具の数々。
どんこはぷっくり肉厚で、かみしめるとジュワリと口の中に
美味しさが広がる。
卵はうす〜い錦糸卵ではなく少し厚みがあるのがどんこに負けずに馴染む。
でんぶとショウガは添加物が入っていないものを探して買っているそう。
その他の具はそぼろ、油揚げ(朝日屋さんの三角揚げ)、キュウリ、もみ海苔。
そして寿司飯のやわらかいのにパラッとした具合も
すし酢の加減もとっても好み。
夕飯どき、隣りでは夫君が美味しそうに喜んで食べていた。
困ったな(福島の方言で「あやまっちまったな」と言います)
おちおち気軽に私のちらし寿司など作れなくなるなぁ。
こうした何グラム、大さじ何杯じゃない年季の入った料理が
作れるようになりたい。
「なんども自分で作ってみ。私は料理の先生でもなんでもないんだから。
自分で失敗してみないと覚えないからねっ」って。
本当にそうですよねぇ。
毎日ごちそう!というのではなく、手をかけたもの。
忙しい日はそれなりに、でも簡単にでも作ったものを。
三春に来てからは夜の外食がめっきり減りました。
なんせ、20:30を過ぎたらたいがいどこのお店も閉まってますから。
そのことに落胆するよりもならば普段は自宅での食事をもっと楽しもうと。
年季の入った味。
まだまだ時間はかかりますが毎日、毎日ですね。師匠!
来客
昨日はヤマサキデザインワークスの山崎宏さんが、
そして今日は革作家の曽田耕さんが東京からお店に来てくれた。
お二人とも仕事があり(山崎さんは山形の帰りに、
曽田耕さんは福島市のBarnsにて展示中)その帰りに
足をのばして寄ってくれたのだ。
お疲れのところだというのに久しぶりに会えて嬉しい。
お二人がつくっているものは商品としてin-kyoでお取り扱いがある上に、
東京の頃は近くに住んでいたということもあってよくお店に来てくれていたのです。
三春のin-kyoにははじめていらしたそのお二人それぞれから
「蔵前のころのままだね。不思議な感じだね」というニュアンスで
感想を頂いてなんだかホッとした。
もちろん東京の「そのまま」を持って来ただけではなく
お店がより良くなるよう私の中ではあれこれやっているのですが。
それでも印象としてお店をよく知っている二人に
「変わらない」と思ってもらえたのが嬉しいのです。
曽田さんは行きは郡山から磐越東線を使っていらしたとのこと。
そ、それが!
帰りは郡山まで歩いてみるというまさかのプラン。
調べたらどうやら2時間半はかかるとのことでしたが。
車やバスで駆け抜ける道。歩いてでしか見つけられないものが
きっとあるだろう。山歩きだったら2時間半は普通だものね。
思いつきもしなかった。
お天気も良かったし、暖かだったから歩くにはちょうど良かったかも。
感想を聞いてみよう。
今年は暖かくなったら数年前にはよく行っていた
登山を再開しようと思っている。
まずはいつも遠くに見えている安達太良山からかな。
色々楽しみ。
ここで
昨日は日中の天候から一変。
夕方から不意打ちのように(といっても天気予報で言ってましたが)
突然の吹雪。
あっという間にお店の窓の外の景色は冬に逆戻りでしたが
夜には煌々と青白く輝く月が姿を現し、雪は止みました。
今朝は雲ひとつない青空。
ほんの名残のようにうっすらと半透明の幕をかけたような
粉雪が残っていたけれど、それもほんの一瞬。
春の雪はサーッと解けていった。
お店の裏手の小道には寝ぼけ眼のオオイヌノフグリが
朝陽に起こされるようにして目を覚まし花開く直前。
2017年3月11日
昨年の今日は引越直前で実家で朝から震災関連のテレビを
一日中見ていたんだった。
今日はいつものように二人分のお弁当を作り、
自宅にはテレビも無いので静かな朝の空気の中、
夫君と会話をしながら朝ごはんを食べ、
お店に着いてからは開店前の掃除を。
そして店を開け、師匠たちがやって来てコーヒーをいれ。
14:46は接客中だったので心の中で黙祷を。
そして1日の仕事を終えて片付けをし、夫君の迎えを待ち家路へ。
いつもと変わることなく。
そう。この「いつもと変わりなく」過ごせることが
どれだけ有り難いことなのか。幸せなことなのか。
6年前の私には今の私を想像することもできないだろう。
思いもよらない縁で今ここにいる。
いや、思いもよらないんじゃないな。
もちろん迷いや不安がなかったといえば嘘になる
けれど、理屈ではない愛着のようなものを感じたのだろう。
住居とお店を構えることになったここで
暮らすことを自分で決めたのだから誰のせいにもしない。
震災、そして原発事故によって
子供の頃から愛着のある土地を離れて暮らす選択を
余儀なくしなければならなかった方、
亡くなられた方やその遺族の方々に自分ができることといえば
思いをよせてただただ祈ることしかできません。
でもだからこそ今自分は楽しいことも大変なことも
日々目一杯生きなければ。
手を差し出して役に立てるときがきたら迷わず動けるように。
いつものようにと思っても、いろんな思いと記憶がめぐり
やはり3月になるとどこかナーバスになっている自分がいる。
でもそれも無いことにしてしまうのも違うと思うので
内側に抱えたそのままの自分とつきあうことにします。
自分たちの暮らし方も考え続けなければ。